著者の吉谷様のブログを読ませていただき、とても思うところがありました。

https://froide.co.jp/ai_yoshitani_froide/archives/5

私も去年秋まで、約7年ほど会社を経営しておりました。私が起業したのは2008年、あのリーマンショックの年です。

起業したとたんに大不況の嵐。その中で一人で始めた会社は半年後には20人を突破、1年後には40人に迫る勢いで拡大していきました。一度の採用活動もすることなく。

社員からの紹介はほぼ100%受け入れました。試用期間なしの即正社員です。

なので、採用コストが、とか、良い人材が取れないとか、他社がもつ悩みを味わったことがありません。

「プログラムなんて、俺でさえ書けるんだから、誰だって書けるようになる。」が基本スタンスですので、選考なんてないに等しい。面接して、いい子そうだなーと思えばそのば、「どお?うち来る?あ、でも、まだ他社の面接残ってるでしょ。受けてきて。それでもうちがいいな思ったらおいで。内定は今日あげとくから。いいとこ見つかったら遠慮なくそちらへ行きな。それでね、そこで出世して、うちに仕事回してね(笑)」などというふざけた面接をしておりました。

するとかなりの確率で「このあとの面接全部キャンセルして、こちらに来たいです。」と言ってくれる子が現れました。

他社から見ると弊社はずいぶんと順調に見えていたようです。「どうして苦労なく人が集まるの?秘訣教えてよ」周りの社長から言われました。「秘訣も何も選考を止めればいいんじゃない?優秀な人材を採ろうとするから採れないだけでしょ。」

私には世間でいうところの「優秀な人材を集める」という意識はゼロでした。他社が採用しない人材を集めて、事業を成り立たせる、というのが私の基本理念でした。

やりたい人はたくさんいる、しかし世のIT企業はそう簡単に未経験者を雇ってくれない。

そこが私が目をつけた勝負どころでした。会社が育成力を持てばいい。石ころを磨いて光らせてしまう育成力を持てばいい。ダイヤの原石を探して大金を捨てる必要などない。

しかし、右も左もわからないずぶの素人をいきなり正社員雇用して、給与を支払ながら学習させるわけです。当然限度があって、伸びが悪くても、祈るような気持ちで開発現場に送り込まざるを得ない時がきます。長年持ち続けたジレンマでした。

一方で、会社は思うように仕事がないまま、人数が増えたので債務超過の海に沈みました。それが、いくつかのひょんなきっかけから立ち直っていきます。

去年、ついに水面に顔が出ました。そこへ舞い込んできたM&Aの話。

半年ほど紆余曲折して、乗ることにしました。ここで自分にも一旦リセットがかかります。

この一年は、再度、本当に自分のやりたいことを見つめなおす日々。たどり着いたのはやはり「未経験者の育成」でした。

高校を中退し、20代はぷー。30代で親族の引きでサラリーマンになり13年間不良社員を続け、クビ同然の退職を機に、趣味になっていたプログラミング技術だけを頼りにこの世界へ転職。44歳の新人では通らないからと、10年分の偽スキルシートでプログラマデビュー。

5年後にはその会社の役員へ。教育・採用を担当したことで、この時期に私のスタンスの基本は出来上がっています。当時もはた目からは破天荒な採用でした。30歳まで歌手を夢見てバイトに明け暮れた無職同然の男、現在某社で立派にエンジニアやってます。

コンビニのレジ打ちと、歌舞伎町のホストしか経歴がない20歳。現在独立して社長です。

釣具屋の店員、トラックの運転手、居酒屋の店長、集めました。

未経験者を育てる情熱を持ちながら、SES事業主体の会社を営んでいく狭間で思い悩む日々。。

M&Aを機に教育に専念しようと。心機一転を謀る毎日。このブログはその助走といったところです。

吉谷様のブログを読み、あの当時の痛みがよみがえりました。自分は経営についてはみそっかすですが、「経営って痛いんだ(>_<)」ってことは肌身で知っています。

現在31期目、ですかね?すごいことです。これからも面白い本をお願いします。ネタに遊ばせてもらいます(^_^)