13歳からギターを弾いている。
47年のキャリアだ。プログラミングよりずっと長い。
実は10代のころはほとんど練習をしておらず、「ギターを持っている」という表現が正しかったと思う。
20代はバンド活動に明け暮れたが、これも自分の腕前を上げるというところとはかけ離れていた。バンドは他人との協力関係の中で進行する。
他人が組んだバンドに加わるとクビになるか、自分が抜けるかし、自分が組んだバンドでは常に自分のことは棚に上げ、メンバーに不満を持った。最悪な野郎だった。
30代になって、サラリーマンとなり、パソコン通信で知り合った人たちとバンドを組んだ。自分もいくらかおとなしくなり、このバンドはかなり長いこと活動した。アマチュアとしてはかなりアクティブに活動したバンドだ。
そのバンドはすべてオリジナル曲を演奏した。コピーをやると腕がバレると思って、作ったものなら比較対象がないからそういうものだと思ってもらえるのではないかという、浅はかな考えでそうしていた。つまり、腕はからっきしだった。
40代になり、エンジニアになった。とたんに忙しくなりプライベートの時間を持つのが難しくなった。練習量は激減した。止めはしなかったが。。
50代になり起業した。このころから短時間で効率の良い練習というのを考え出した。無駄な練習を避け、目的意識のある練習を少しだけするように心がけた。
社長業のプレッシャーは大きく、恐怖は友人になった。リーマンショックと共に起業したし。
そういう環境の中でギターを練習した。若い時より練習した。なぜか、ギターを止めると会社が潰れるのではないかという強迫観念があった。この頃に一番伸びたと思う。
伸びたというか、今までバラバラと練習されてきたものが形を見せ始めた時期かもしれません。
去年、M&Aにより、会社を手放した。そして現在、買い主の、親会社の元でサラリーマンをしている。この立場は今まで経験したことがないものだった。
以前経験したサラリーマンとも、経営者とも違う、とても神経を使う立ち位置だ。
そして、現在ほとんどギターの練習が出来ていない。やる時間がない、というのも少し違う。
頭の中から消えるのだ。今、私の脳内はなにか大きなものに占められており(借金じゃないよ)、他のことがおざなりになっている。
経営者時代も脳の中は会社のことに占有されていたが、同時にギターをおろそかにすると会社がダメになるという訳のわからない恐怖感が支えてくれた。
今所属している会社は私の会社ではないわけなので、その恐怖感は湧いてこない。つまり私を練習へと駆り立てる原動力が、自分を律する強さくらいしか期待できないのだ。つまりはほとんど期待が持てないということだ。
近々私は事業を起こそうと思っている。今のところをお暇して。つまりまた経営者に戻る。
そこでまた、私はオーナー経営者が等しく持つ恐怖感と共に生きるようになるだろう。
そしてまた、一生懸命ギターを練習するようになるだろう。
つまり、私の場合は、ギターの練習が良くできているかどうかが心のバロメーターになっている部分がある。そういう意味では今は底を打ってる感じだ。厄年だし。そんなもんかも知れない。