https://www.youtube.com/watch?v=VEu5mT3XD2s&t=1584s

僕は和音が苦手で、ギターを弾いていても、コードを弾くということを極力しないのです。

最初からそうであったわけでなく、当然最初はコードを弾く練習から始まったはずなのだけど、いつの間にかコードカッティングとかアルペジオとか、フィンガーピッキングによるコードヴォイシングとかを上手に演奏する人々に激しい劣等感を抱くに至ってしまった。

原因を考えると、多分耳の悪さなのだと思う。

僕は譜面が読めないし、読めるようになろうなどという努力もしたことがない。タブ譜は参考にするけどかなりめんどくさい作業なので、耳で聞き取って弾くということを何十年も続けて来ている。

しかし、単音は聞き取れても和音は聞き取れない。

3声くらいまでならなんとかなるけど、4声以上の洒落たコードになるといけません。

自然、コードより単音の部分を練習することがメインになってしまって、気がつけば抜き差しならない不自由なギター弾きになってしまったのです。

去年あたりから「ギターは単音楽器なのである!」と決めてかかって、コードを弾くことを捨てている。

幸いに今一緒にやっている相方がコード専門の人なので釣り合いが取れるのをもっけの幸いとして極端にコードを弾かない生活なのであります。

しかし、「単音楽器」として考えるとバイオリンというのはやっぱり素晴らしい楽器で、もしも僕がもう一度10代に戻れるなら、ギターでなくバイオリンを選択するだろうと思います。

今までに何度となく、バイオリンの専門店で、あとは財布からカードを出せば終わり、という局面を切り抜け、おすすめのバイオリンを手にした店員をその場に残して店を走り出るという醜態を演じてきており、そのとき、寸前のところで自分を思いとどまらせる呪文は「ギターを単音楽器だと割り切れば同じことだ!」と強く思い、涙を振り払いながら店を駆け出るわけです。

すこしデフォルメしていますが、大同小異なんですよ。ほんとに。

バイオリンの音色というのは心に食い込んでくる、魂を飛翔させる力があるんです。

バイオリンは自然な音で、何の加工をしなくてもロングトーンが可能です。ギターはそのままでは減衰していく運命の楽器なので、単音ソロを重視する人は音を加工します。色々なエフェクターで。

その段階でバイオリンのような自然さは失われます。

「それが好き」な方も多くいて、それはそれで良いのですが、僕はあまりに電気を感じさせる音が最近は少し苦手なんです。自然音とエレクトリックのバランス良い配合が好きです。

仕事でほとんどギターを弾く時間を取れない今、少ない練習時間を「単音弾き」に集めます。

こうやって仕事中にバックグラウンドとしてバイオリンの曲を聞いたりしながら、「バイオリン弾きたいなー」という思いを思い切り切り捨てるその勢いを「単音」を追いかける情熱に切り替えるわけです。

3日くらい保ちます。この情熱(笑)